2012-05

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この冬は国芳が熱い!

皆様、メリークリスマス 三連休の中日、クリスマス・イヴの夜、いかがお過ごしですか? 週末は通常どおり就業してます、スタッフのマツです。

もちろん、浮世絵好きの皆様は、クリスマスも「美の巨人たち」テレビ東京系列)をご覧になってますよね〜。今日の「美の巨人たち」のテーマは、歌川国芳の戯画! 今もっとも注目されている幕末の浮世絵師・歌川国芳の奇想天外な浮世絵作品の数々が紹介されました。(番組のナビゲーターである浮世絵愛好家・マーフィー氏は、以前アダチ版画研究所に遊びにいらした方ですよ〜。)

「宮本武蔵の鯨退治」や「通俗水滸伝豪傑百八人之壱人 浪裡白跳張順」などが登場していましたね。いやはや、国芳ワールドは奥が深い
コメンテーターの稲垣先生が仰っていたように国芳の浮世絵は「今でも楽しめる」作品ばかり。全く古臭さを感じなくて、BGMに流れていたロックの曲も妙にしっくり合っていて面白かったですね〜。

30分の番組内で紹介されたのは、あれでも国芳の画業の氷山の一角。国芳作品をじっくりご覧になりたい方は、アダチ版復刻でどうぞ!

国芳作品一覧



そして、もっともっと国芳の作品を見たい、という好奇心旺盛な方は、是非、東京六本木へ! 国芳の作品を400点以上(※前期・後期合わせて)見られる過去最大級の展覧会が、森ビル52Fで開催中です! その名も「没後150年 歌川国芳展」
春に大阪市立美術館、夏に静岡市美術館で開催され、いずれも大盛況だった巡回展がいよいよ冬の東京に上陸です。これを見ずして、年越しは出来ません! 師走の気忙しさを一笑する国芳親方の豪快な浮世絵ワールド、是非ご堪能下さい。展覧会のご監修は、10月にアダチ版画研究所でご講演を下さった岩切友里子先生です〜。(そのときの模様はこちらの記事に>>
もちろん、展覧会出口では、アダチ版画研究所の販売コーナーもあります。いずれの作品もお手にとってご覧いただけますので、是非、お立ち寄り下さい。(マツも時々、会場で販売員をやっております

歌川国芳展 公式ホームページはこちら >>

さらに、ディープに国芳ワールドを楽しみたいという方は、21日発売の刺青専門誌『TATOO TRIBAL』最新号(vol.49)もお勧めです。こちらもガッツリ国芳特集。11月に目白ショールームで開催した刺青彫師・賽天氏とアダチ版画の彫師・新實の実演&トークイベントもレポートされてます。(そのときの模様はこちらの記事に>>)伝統を受け継ぐ二人の彫師の競演は必見

という訳で、この冬は、とにかく国芳が熱い! これからさらに盛り上がりますよ。実はこの後、お正月にも…… と、このお話はまた改めて。
国芳没後150年の冬、浮世絵熱をさらにヒートアップさせる情報をご希望の国芳ファンには、アダチ版画研究所のメールマガジン「ば・れ・ん」のご購読をお勧めいたします。ただいま国芳の特別コラムを連載しています。さらに次号では、メルマガ読者限定のお得な情報も。

メールマガジンご購読はこちらからどうぞ>>

ここはひとつ、チャッキチャキの江戸っ子よろしく、国芳イヤーを皆様で盛り上げて参りましょう

matsu-jirushi

国芳展イベント? 賽天氏トーク×浮世絵版画彫り実演

こんにちは、スタッフのマツです 先月よりアダチ版画研究所目白ショールームで開催している「スカイツリーを予言した!? 粋な江戸っ子浮世絵師・歌川国芳展」も残すところ後二週間となりました。お陰様で会期中沢山の方にご来場いただいています。国芳の人気はこちらの予想以上で、年齢層も幅広くて驚きます。

さて 、多くの国芳ファンにとって、国芳作品を語る上で外せないのは武者絵でしょう。現代に息づく武者絵の文化の魅力を探るべく、先週末に目白ショールームで開催した企画展関連イベント第2回「賽天氏トーク×浮世絵版画彫り実演」の模様をレポートいたします。
なんと今回のイベントは、本邦初となる木版の彫師と刺青の彫師の共演 貴重な機会とあって、開催一ヶ月前にご予約満席となる人気ぶりでした。

まずイベント前半は、アダチ版画研究所の彫師・新實による彫りの実演です。当日は、国芳の「猫飼好五十三疋」の中の部分図を使用して実演を行いました。(右図の手ぬぐいかぶりの猫「三嶌=三毛ま」です

伝統的な木版画の彫師の仕事は、大きく分けて「彫り」 と「さらい」の二つの作業になります。小刀を使って凸部となる部分のきわに切れ込みをいれていく作業が「彫り」。その後に不要な部分(凹部)を鑿で削って行くのが「さらい」です。ですから、最初の「彫り」の過程では板の表面に殆ど変化は見られません。薄く研がれた小刀の刃を、絵師の描いた線の両側に、なぞるように入れて行きます。(一般にイメージされる木屑が飛び散る作業は「さらい」の作業です。)
彫師の緻密な作業を、皆さん息を呑んでご覧になっていました。

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そして、刀を入れ終わった板を黙々と新實が「さらい」の作業を行う中、参加者の皆様には、制作途中の版木をご覧いただきました。
そう、実は今、アダチ版画研究所では、国芳のある作品の復刻に取り掛かっています。武者絵の最高傑作と呼ばれる、アノ作品。イベントでは、この作品の主版(輪郭線の部分の版木)を特別にお披露目致しました。
それ自体が一つの彫刻作品とも言うべき匠の技に、参加者の皆さん見惚れていらっしゃいました。 同作は、12月の完成を目指して現在、色板を順次制作しています。新たな作品が生まれる現場に立ち会っている感動を、皆様それぞれかみしめていらっしゃるご様子でした。
「アノ作品」の完成は、アダチ版画研究所メールマガジンでいち早くお知らせいたします。是非、メールマガジンにご登録下さい。もしかしたら、メルマガ読者特典がある、かも

111119_event04続いて後半は、東京・札幌でご活躍中の刺青彫師・賽天氏をお招きしてのトークショー。(賽天さんのホームページはこちら)参加者のほとんどが馴染みの薄い刺青の世界に興味津々。
ということで、なんと当日、賽天氏は実際に今賽天氏が背中を彫っていらっしゃる方をお連れ下さりそのお仕事を紹介して下さいました。人肌の上の鮮やかな刺青を目の前にして、参加者も一気に刺青の世界に引き込まれました
制作中の版木に背中の刺青と、めったに見られない実物を間近にして会場の皆様もちょっと興奮気味

111119_event05トークでは、刺青発祥の歴史から、国芳の浮世絵と刺青の武者絵の影響関係、そして現在の刺青文化と国芳人気といったように、様々なお話をうかがうことが出来ました。

「規格外のものをただ排除するのではなく、時にはそれを風刺し笑いに換えるような江戸の大らかさ、そういったものが今の日本には必要だと思う。国芳が作品を通じて描いた反骨精神を、この仕事を通じて伝えて行ければ」
という賽天氏の言葉が印象的でした。
武者絵には、様々な人の想いや生き様への共感が込められているんですね。

浮世絵と刺青と、江戸で花開き現在までその技が受け継がれている両者の間には共通項も多く、会場からも「日本の伝統文化と、それを支える職人の技はもっと見直されるべき」との声が上がりました。とても嬉しいお言葉です

限られた定員数での開催が改めて残念な濃密な2時間半のイベントでした。賽天さん、本当に有難うございました
企画展は12月7日までです。どうぞ皆様お見逃しなく!



参加者の声(当日配布のアンケートより)

彫を眼前で見せて戴いたこと、とても楽しくありがたいことでした。刺青彫師の方のトークも楽しく伺いました。またこのような機会を作っていただけますよう。ありがとうございました。(神奈川県・67歳・女性)

賽天氏のトークは、こんなチャンスでもない限り、うかがえないものだと思うので、とても面白かったです。お二方の職人の心意気をかいま見た感じがしました。(東京都・45歳)

matsu-jirushi

海外実演・店長 韓国・光州レポート vol.3

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今日は、早くも光州での実演の最終日となりました。
最終日は、光州の中でも歴史のある私立大学・朝鮮大学の美術大学へうかがいました。

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美術大学の建物の前に行くと..

「匠人 摺師 京増与志夫」と書かれた大きな大段幕が我々を出迎えてくれました。
歓待いただきありがとうございます!

korea_chosun02版画科の学生を中心に、他の科の先生方も多く集まっていただきました。
50名くらいだったのではないでしょうか。
初めに、美術学部の教授の金先生が今回の実演についてご紹介して下さいました。浮世絵の制作について貴重な機会ととらえ、多くの生徒さんに声をかけていただいたようです。



korea_chosun03朝鮮大学は、油絵科や版画科など既存の学科だけでなく、アニメーションやマンガの学科など時代に合わせた学科も多く15の学科があるそうです。
そのマンガ学科の教授からは、浮世絵をはじめ、マンガやアニメにおいて線の役割が特徴的だとのお話をいただきました。まさに、おっしゃる通りですね。

浮世絵の場合、絵師が描く版下絵が絵全体の基本になる線です。版をつくるときの基本はもちろん版下絵の線です。色の部分の版をつくる際も、線を基準にしてその周りに色別に面をつくっていくわけです。そして、もちろん摺る際も、線を摺った後にその中に色を一色ずつ入れていくかたちで摺り進めていきます。

これは、商業印刷として、いかに効率的に制作工程をすすめるかという事が要素としてあったのではないでしょうか。色なども制約のもと効果的にすることが求められられるのも経済性という観点からで、マンガ・アニメとも共通してますね。

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学生の皆さんの世代にとっては、浮世絵より日本のマンガ・アニメーションに親近感があるためか、マンガ・アニメとの共通点からお話することで、浮世絵の江戸時代においての役割や特徴などは理解していただきやすかったようです。


今回、3日間という短い期間でしたが、学生さんを中心に、実演をご覧いただきました。韓国で浮世絵の実演はこれまであまり行われたことはなかったようで、関心の高い学生さんからは、もっと多くの人に見てもらいたいという声もいただきました。浮世絵そして浮世絵の制作技術に間近で触れていただき、新たな可能性をお互いに見いだす機会にしていきたいですね。

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最後に、今回招聘いただいたウ・ジェギル氏も朝鮮大学にも顔をだしていただき、関係者で記念写真を撮りました!
ハイ、キムチー。(写真と取るときのかけ声です!)
tenchojirushi

海外実演・店長 韓国・光州レポート vol.2

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今日は、ウ・ジェギル美術館から場所を移し、光州にある全南(チョムナム)大学の美術科でのアートスペースで実演をしてきました。全南大学は、光州の街の北の方に位置し、1980年の光州事件の際、民主化運動の中心地ともなった場所で、光州では名門の国立大学です。

korea_chonnam日本の大学の広さとは全く異なり、広い敷地の中にゆったりと学部毎に施設が設けられていて、車や自転車が無いとキャンパスを移動するのは結構大変なくらいです。
キャンパス内の木々は、すでに紅葉していてとても素敵な雰囲気の学校でした。午後からの実演を前に、秋深まる構内を散策し、久々に学生気分を味わってきました!

さて、メインイベントの実演ですが、授業が2時に終わるとのことで、2時少し過ぎた頃から学生さん達が会場に集まって来てくれました。驚くことに、40人ほどの学生さんの9割が女子学生でした。女子パワーはどこの国も強いようですね(笑)

korea_demo03今日は、学校の中でのイベントで、日本の浮世絵についてあまり知らない学生もいるようでしたので、ウ・ジェギル美術館の学芸員さんが最初に、日本の浮世絵について、そしてアダチ版画についても、実演の前にきちんと説明をして下さいました。初めて見る浮世絵版画の摺の様子に、実演が始まると大変静かに集中してご覧いただきました。女性達の注目を一点に集め、恐らく摺師・京増もちょっと緊張したのではないでしょうか?

最初のアウトラインが摺りあがると「わ〜」と驚きの歓声が。何とも嬉しい瞬間ですね。
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今日も昨日同様、ソウル大学の油絵科を出て、版画を勉強している方が一人、ソウルからこの実演を見に来ていただいていました。実演中も摺師の動きに注目し、一つ一つの動きについてメモを取るという真剣ぶり。少しでも創作活動の参考にしていただけると、我々も嬉しいですね。

korea_demo05実演が終わって、完成した作品を回していると、一部から摺ってみたい!との声が。。。
今回特に用意はしていなかったので、急遽紙を用意していただき、数名の学生の方に体験していただきました。紙の持ち方や見当への紙の置き方など、摺師京増が指導させていただき、いざ体験。



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なかなか簡単にはいかないようで、馬連で摺るのも結構力が必要です。彼女たちは力一杯摺って、摺りあがる頃には、息が上がっている子も。

体験をしていただくことで、職人の仕事の難しさも実感していただいたようです。





明日は、同じ光州にある私立大学・朝鮮大学にて実演です!tenchojirushi

海外実演・店長 韓国・光州レポート vol.1

韓国出張実演バナー

11月に入り、今年もあと残り2ヶ月。例年に比べるとだいぶ暖かい日が続いていますが、朝晩はだいぶ冷え込むようになりましたね。結構、風邪ぎみの人も多いようです。皆さんも風邪にはお気をつけ下さいね。

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さて、アダチ版画では、9月のベルリンに続き、韓国光州の美術館の要請を受け、昨日から海外出張実演に来ております!

昨日、5日に成田空港を経ちソウル仁川空港へ。
そこからさらに、高速バスに乗り継ぎ4時間半ほど南に行くと、光州へ到着しました。2年に一度光州ビエンナーレが開催される場所でもあり韓国の中では文化都市としても知られています。
←仁川空港−光州の高速バス!


今回は、光州現代美術の第一人者と言われるウ・ジェギル氏の美術館から招聘いただき、3日間の日程で、美術館の他、大学でも実演を行う予定です。
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korea_museumウ・ジェギル美術館では、氏の作品を展示すると共に2004年から毎年『国際版画ワークショップ』展を企画し、版画の啓蒙普及にも力を注いでいます。今回は第8回目で、日本の浮世絵木版画をテーマに企画をされ、オープニングイベントとして制作技術に触れていただくために、今日の摺り実演が開催されました。


korea_exhibition3時からの実演の前に、オープニングセレモニーがあり、学芸員の金さんから来場されたお客様に作品のご説明をされていました。
今回の展示は、アダチ版画研究所で制作された復刻版浮世絵25点で行われ、初期浮世絵と言われる墨一色の作品から、春信・清長・歌麿・写楽・広重・北斎・国芳といった有名絵師の浮世絵を網羅的に紹介されています。

今日は、ウ・ジェギル氏と交友のある光州におられる画家や版画家といったアーティストの方を中心に集まっていただきました。韓国の版画協会の会長の方などもお越しになり、オープニングの場では、韓国の版画や版画家の方々のお仕事の現状などもうかがうことが出来ました。会場に展示された浮世絵をご覧いただきながら、実演前にもかかわらず色々な質問を受けながら、和やかな時間を過ごさせていただきました。

korea_demo01 3時になるとワークショップのスペースに場所を移動して、摺の実演が始まりました。今回韓国にうかがった摺師は、昨年サンディエゴの実演にもうかがった若手の京増与志夫です。
そして、どこの国へ行っても知らない方はいないと言っても良い北斎の名作「神奈川沖浪裏」の実演をいたしました。

これまで韓国の方々の前で実演をすることは無かったので、どのような反応をされるか不安もありましたが、ご来場いただいた皆さんには、大変熱心に摺りの作業をご覧いただく事が出来ました。素材や絵具については作家の方が多かったためか、絵具や糊の使い方など具体的な質問も多くいただきました。

korea_demo02そして、実演終了後、摺りたての作品を回して、間近に触れていただくと、少量の絵の具でも鮮やかに発色することに対して、大変驚いておられました。バレンで和紙に絵の具を摺り込んでいくことでこれだけの色がつく職人の技に感心していただいたようです。

今回一番前の席で実演をご覧いただいた学生さんは、京都精華大学へも留学したことがあり、今日はソウルからわざわざ、実演を見るためにお越しいただいたとのこと。彼女自身、浮世絵そしてその制作技術に興味があり、西洋の印象派の人々になぜ浮世絵が大きな影響を与えていたのかを調べていて、今日の実演でさらに理解を深めていただいたとのことでした。韓国の若者にも浮世絵は影響を与えていたようです!

korea_artist最後にはこれまでアダチ版画で手がけた現代の木版画を披露し、浮世絵制作技術の表現の現代における可能性をお話してまいりました。
日本特有の伝統木版技術ですが、韓国の作家の人にも是非活用していただき、日本の職人達とコラボレーションさせていただきたいですね。

そして、最後に今回ご協力いただいたウ・ジェギル氏から感謝のお言葉をいただき、先生の作品集にサインをしていただきました!
ウ・ジェギル先生、カムサハムニダ。

明日は、光州にある国立大学・全南大学でのワークショップとなります。レポートお楽しみに。

tenchojirushi

Appendix

プロフィール

アダチ版画スタッフ

Author:アダチ版画スタッフ
江戸時代、庶民に愛されていた浮世絵。その浮世絵をつくる技術を継承した現代の職人(彫師・摺師)たちと一緒に、浮世絵の復刻版や現代の木版画作品を皆さんに紹介する仕事をしています!
アダチ版画研究所ホームページ

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